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スリットST推定 Phase 1: 実測 ST パネルとベースライン確定

docs/design/st_estimation.md の検証計画 Phase 1 の実施記録。 正解データ(実測 ST)のパネルを構築して前処理ルールを確定し、ベースライン B0(公表 全国平均 ST)/ B1(スタート展示 ST そのまま)の指標値を固定した。 以後の仮説検証(Phase 2)はこの数字との比較で判断する。


1. パネル仕様

data/results/realtime(実測 ST・実進入コース・F)+ data/programs/race_cards (公表 全国平均 ST・級別・F 本数)+ data/previews/stt(展示 ST・展示進入コース)を レースコード × 艇番 で結合した 1 艇走 = 1 行のパネル。気象列(風向・風速・波高・天候)と 決まり手も保持し、Phase 2 の H5(気象)にそのまま使える。

項目 値
期間 2025-11-01 〜 2026-07-20(約 8.5 ヶ月)
レース数 39,081
艇走数 234,061
選手数 1,639(選手あたり出走数 中央値 141 走)
実測 ST 平均 ± SD(F 除外) 0.164 ± 0.072 秒

設計書 §2.1 では蓄積を「2.5〜3 ヶ月・5〜9 万艇走」と見積もっていたが、実際は 8.5 ヶ月・23 万艇走で 想定の約 3 倍。選手×コース別の縮約推定にも現実味がある。

データ実態の確定事項(設計書 §2.1 の未決 → 確定)

  1. F の表現: Nコース_F 列は docs の記述(1=フライング/0=正常)と異なり、 実データでは 文字 "F" / 空欄。F 艇の Nコース_スタートタイミング は 負値 (853 件、範囲 -0.14〜-0.01)。F マーク無しの負値 ST も 7 件あり(データ側の癖)、 正解からは「F または ST<0」をまとめて除外する → docs/data/results.md の記述を実態に合わせて修正済み
  2. L(出遅れ): 専用マークは出現しない。ST 0.5 超の重い遅れ(243 件、最大 0.99)として 数値のまま記録されている。正解には含める(実際に起きたスタートであるため)
  3. 欠損: 実測 ST の欠損は - の 5 件のみ。race_cards と結合できない艇走が 4,849 件(2.1%)、stt が無いレースが 8.0%
  4. 展示 ST の負値(展示 F)は 21.7%。本番と違い展示ではペナルティが無いため 踏み込む選手が多い(H3 のバイアス補正が必須な根拠)
  5. 進入予測のずれ: 実進入 ≠ 枠番は 9.3%(艇走ベース)、展示進入 ≠ 実進入は 5.1%

2. 前処理ルール(確定)

3. ベースライン確定値

B0 = 公表 全国平均 ST(0.00/欠損は 0.25 補完 = NO_RECORD_ST_FALLBACK)。 B0raw = 補完なし(H6 修正前の距離計算相当)。B1 = 展示 ST そのまま。

全期間(2025-11-01〜2026-07-20)

指標 B0 (daily) B0raw (daily) B0 (realtime) B1 (realtime)
MAE 0.0548 0.0581 0.0544 0.1221
RMSE 0.0714 0.0783 0.0708 0.1517
バイアス +0.003 -0.007 +0.002 -0.086
スリット順位 Spearman ρ 0.226 0.202 0.227 0.081
先頭艇一致率 23.4% 22.5% 23.5% 22.4%
隊形3分類一致率 42.7% 40.8% 42.7% 32.5%

テスト窓(直近 30 日: 2026-06-21〜07-20)

指標 B0 (daily) B0raw (daily) B0 (realtime) B1 (realtime)
MAE 0.0526 0.0547 0.0522 0.1123
Spearman ρ 0.231 0.201 0.231 0.083
先頭艇一致率 24.1% 23.3% 24.1% 22.7%
隊形3分類一致率 43.4% 41.4% 43.3% 32.6%

補足:

4. 記述統計と仮説への示唆

観察 値 示唆
公表平均 ST と実測の相関(艇走レベル) 0.237 現行予測子は弱い。改善余地大
同(選手レベル、30 走以上) 0.496 公表値は選手平均としてもノイジー
選手内の期間安定性(前半 4.5 ヶ月平均 vs 後半、各 15 走以上の 1,577 名) 0.772 H1 の根拠。実測履歴の選手平均は公表値(0.496)より大幅に安定した予測子になる
実進入コース別の実測 ST 平均 1c: 0.152 / 2c: 0.164 / 3c: 0.159 / 4c: 0.162 / 5c: 0.166 / 6c: 0.183 H2 の根拠。ただし定説(カド最速)と異なり 1 コースが最速・6 コースが突出して遅い。コース補正は「6 コース +0.02」が主効果
級別の実測 ST 平均 A1: 0.146 / A2: 0.161 / B1: 0.172 / B2: 0.187 H6(級別事前分布)の根拠。スプレッド 0.041 秒
F 本数別の実測 ST 平均 F0: 0.161 / F1: 0.180 / F2: 0.217 H4 の根拠。F1 +0.018、F2 +0.056 と大きい
公表 ST = 0.00 艇の実測平均 0.197(4,067 艇走) 0.25 補完は方向は正しいがやや遅すぎ。級別補完なら 0.19 前後が妥当(H6 後半)
選手内 ST 標準偏差(中央値) 0.068 1 走の ST はノイズ大。展示 1 本(H3)を強く信じられない理由

5. Phase 2 への持ち越し

追記 (2026-07-20): Phase 2 実施済み。結果は phase2_report.md。 下記の MAE -10% 目標はオラクル床(0.0486)を下回る誤設定だったことが判明している。

6. 限界